私が子供の頃、我が家では味噌汁のことを「おみおつけ」と呼んでいた。「おつけ」を丁寧に「おみおつけ」と呼ぶのだと母からは聞いていた。最近「おみおつけ」という言葉を聞かなくなったと思ったが、ふと図書館で手にした沢村貞子さんのエッセイには「おみおつけ」は「御御御つけ」で、「御」がみっつつくもので、この呼び方は下町のものだとも書いてあった。下町の「方言」だとしたら、そんな言葉が廃れてしまうのも仕方がない。私の父は厩橋の生まれで、90年も前に中野に引っ越してきたころ、ここの家だけは「下町」の習慣で暮らしていたと話していた。例えば、端午の節句にしょうぶ湯につかる習慣など。
ちなみに、当時「府下」と呼ばれたこの辺りの子どもたちは、町の方から引っ越してきた父たち兄弟には意味のわからない言葉で意地悪をしたりしたそうだ。そんな言葉も、もう、「東京23区」に呑み込まれたこのあたりで使う人はいないだろう。
子どもの頃の習慣は、変な愛着が捨てられないもので、私は今でも味噌汁に「お」をつける「お味噌汁」という呼び方が好きでない。
ちなみに、当時「府下」と呼ばれたこの辺りの子どもたちは、町の方から引っ越してきた父たち兄弟には意味のわからない言葉で意地悪をしたりしたそうだ。そんな言葉も、もう、「東京23区」に呑み込まれたこのあたりで使う人はいないだろう。
子どもの頃の習慣は、変な愛着が捨てられないもので、私は今でも味噌汁に「お」をつける「お味噌汁」という呼び方が好きでない。